四柱推命(子平命理学)
── その歴史・宇宙論・技法の全体像 ──
Eight Characters / Ba Zi / 八字命理
「命を推し測る最高の科学」── 韋千里
📋 目次
1. 四柱推命とは何か
四柱推命(しちゅうすいめい)は、人が生まれた年・月・日・時の四つの「柱」をそれぞれ干支(十干と十二支の組み合わせ)に変換し、その八文字(八字)が表す五行の配置から運命・性格・吉凶時期を読む中国発祥の命術です。「子平命理学(しへいめいりがく)」「八字(パーツー)」とも呼ばれます。
ジョーティシュ(インド占星術)が惑星の実天体位置を使うのに対し、四柱推命は「干支」という象徴的な時間体系を使います。しかし両者は「いつ・何が起きるか」という時間軸の予測を核心とする点で共通しており、人類が独自に発展させた二大命術と言えます。
- 出生時の宇宙エネルギー(五行バランス)がその人の「設計図」を示す
- 大運・流年という時間軸で「いつ・どの運気が来るか」を特定できる
- 核心:日主(日干)の強弱 × 用神(命式の薬)× 大運・流年の組み合わせ
- 「命を推し測るのであって、命を決定するのではない」── 韋千里の言葉
2. 四柱推命の歴史
2.1 起源:殷・周時代(紀元前1600〜256年)
四柱推命の根幹をなす「干支(かんし)」の概念は中国最古の王朝・殷代(紀元前1600〜1046年)に遡ります。甲骨文字に十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)が記録されており、日付の記録・祭祀の日程管理・農耕暦として使われていました。十二支も同時期に成立し、60通りの干支の組み合わせ(六十甲子)が暦の基本単位となりました。
2.2 漢代:陰陽五行思想との融合(紀元前206年〜220年)
漢代に五行思想(木・火・土・金・水)が干支体系と結合されました。この時代に「命(みょう)」を推し測る試みが本格化し、年柱・月柱・日柱の三柱から運命を見る「三命思想」が発展。李虛中(762〜813年・唐代)は年・月・日の三柱を用いた命理学の先駆者として知られます。
2.3 宋代:子平法の確立(960〜1279年)
四柱推命最大の革新は宋代の「徐子平(じょしへい)」によってもたらされました。それまでの三命法(年柱中心)から「日柱の天干(日主)を中心に置く」という画期的な転換を行いました。この「子平法」こそが現代四柱推命の直接の原型です。
旧来(三命法):年柱(生まれた年の干支)を命式の中心とする
子平法:日柱の天干(日主・日干)を命式の中心とする
→ 同じ年生まれでも日主が異なれば全く異なる命式になる。これにより個人の運命をより精密に読めるようになった。
2.4 明代:古典の大成(1368〜1644年)
| 文献名 | 著者/成立 | 内容・意義 |
|---|---|---|
| 三命通会 | 万民英(1550年頃) | 最大の命理百科全書。古代から明代までを集大成。1000例以上の命例 |
| 滴天髓 | 劉基(伝)/任鉄樵注(清代) | 詩文形式で命理の深層を論じる。従格・病薬用神等の高度な概念 |
| 窮通宝鑑 | 余春台(明代末) | 調候用神の決定版。日干×月支の組み合わせを完全網羅 |
2.5 清代:子平真詮の完成(1644〜1912年)
沈孝瞻著『子平真詮』は格局論を最も論理的・体系的に整理した書として、現代でも最重要古典の一つです。月令用神・格局の成敗を厳密に論じた体系は、現代命理師の基礎教養となっています。
2.6 民国期:三大命理家(1912〜1949年)
| 人物 | 生没 | 主著 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 袁樹珊 | 1881〜1952年 | 命理探原・袁氏命譜 | 「南袁北韋」の南袁。温州・北方で活躍 |
| 韋千里 | 1911〜1988年 | 千里命稿・八字提要・命学講義新編 | 復旦大卒。現代命理の標準フォーマットを確立した命理界の最高峰 |
| 徐楽吾 | 1886〜1941年 | 造化元鑰・古今名人命鑑 | 滴天髓・窮通宝鑑の詳細注釈で著名 |
2.7 現代(1949年〜現在)
1949年以降、四柱推命は台湾・香港・海外華僑社会で継承・発展しました。中国大陸では文化大革命期に弾圧されましたが、1980年代以降に復興。現在は中国・台湾・香港・日本・韓国・東南アジアで広く実践され、欧米にも普及しています。
▲ 目次に戻る3. 哲学的・宇宙論的背景
3.1 陰陽思想
| 陽(ヨウ) | 陰(イン) |
|---|---|
| 天・太陽・昼・動・積極 | 地・月・夜・静・消極 |
| 男性・熱・奇数 | 女性・冷・偶数 |
| 甲・丙・戊・庚・壬(陽干) | 乙・丁・己・辛・癸(陰干) |
| 子・寅・辰・午・申・戌(陽支) | 丑・卯・巳・未・酉・亥(陰支) |
3.2 五行思想
| 五行 | 象意 | 季節 | 方位 | 色 | 臓器 |
|---|---|---|---|---|---|
| 木(もく) | 成長・発展・柔軟 | 春 | 東 | 青・緑 | 肝・胆 |
| 火(か) | 情熱・輝き・拡張 | 夏 | 南 | 赤 | 心・小腸 |
| 土(ど) | 安定・変換・包容 | 土用 | 中央 | 黄 | 脾・胃 |
| 金(ごん) | 収穫・決断・完成 | 秋 | 西 | 白 | 肺・大腸 |
| 水(すい) | 潜伏・深化・知恵 | 冬 | 北 | 黒・紺 | 腎・膀胱 |
3.3 相生・相克
【相生(そうせい)】生み出す関係:木→火→土→金→水→木
木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生じる
【相克(そうこく)】剋する関係:木→土→水→火→金→木
木は土を剋し、土は水を剋し、水は火を剋し、火は金を剋し、金は木を剋す
3.4 天命観
四柱推命の哲学的基盤には儒教・道教の「天命(てんめい)」思想があります。命を知ることは諦めではなく「自分の本来の道を知り、それに沿って最善を尽くす」ための智慧です。韋千里も「余は命を断ずるのではなく、命を推し測るに過ぎない」と述べています。
▲ 目次に戻る4. 四柱の基本構造
4.1 四柱と八字
| 柱 | 天干 | 地支 | 意味・対応 |
|---|---|---|---|
| 年柱 | 年干 | 年支 | 祖先・社会環境・幼少期(0〜15歳頃) |
| 月柱 | 月干 | 月支 | 父母・青年期・社会での役割。格局を決める最重要柱 |
| 日柱 | 日干(日主) | 日支 | 本人そのもの・中年期・配偶者宮。全解釈の中心 |
| 時柱 | 時干 | 時支 | 子供・晩年期・将来の方向性 |
4.2 干支の算出と節入り
命式を立てるには「節入り(せつにゅり)」が重要です。年柱は立春(2月4日頃)が切り替え点、月柱は各月の「節」が切り替え点(暦の月1日ではない)となります。月の節入り一覧:
| 月干支 | 節名 | 概略日付 |
|---|---|---|
| 寅月 | 立春(りっしゅん) | 2月4日頃 |
| 卯月 | 啓蟄(けいちつ) | 3月6日頃 |
| 辰月 | 清明(せいめい) | 4月5日頃 |
| 巳月 | 立夏(りっか) | 5月6日頃 |
| 午月 | 芒種(ぼうしゅ) | 6月6日頃 |
| 未月 | 小暑(しょうしょ) | 7月7日頃 |
| 申月 | 立秋(りっしゅう) | 8月7日頃 |
| 酉月 | 白露(はくろ) | 9月8日頃 |
| 戌月 | 寒露(かんろ) | 10月8日頃 |
| 亥月 | 立冬(りっとう) | 11月7日頃 |
| 子月 | 大雪(たいせつ) | 12月7日頃 |
| 丑月 | 小寒(しょうかん) | 1月6日頃 |
5. 十干(じっかん)詳解
| 天干 | 読み | 五行 | 陰陽 | 象意 | 性格 | WHGR Root |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 甲 | きのえ | 木 | 陽 | 大木・杉・直立 | 開拓・正直・頑固・リーダー | 0° |
| 乙 | きのと | 木 | 陰 | 草花・蔓草 | 柔軟・外交・適応・目的達成上手 | 36° |
| 丙 | ひのえ | 火 | 陽 | 太陽・大きな炎 | 明朗・情熱・公明正大 | 72° |
| 丁 | ひのと | 火 | 陰 | 灯火・蝋燭 | 繊細・思慮深い・内なる情熱 | 108° |
| 戊 | つちのえ | 土 | 陽 | 山岳・城壁・大地 | 安定・包容力・頑固・重厚 | 144° |
| 己 | つちのと | 土 | 陰 | 田畑・湿った土 | 細やか・育てる・心配性 | 180° |
| 庚 | かのえ | 金 | 陽 | 刀剣・鉄鋼・斧 | 厳格・潔癖・決断力・改革 | 216° |
| 辛 | かのと | 金 | 陰 | 宝石・精巧な金属 | 美的センス・高いプライド・鋭い感性 | 252° |
| 壬 | みずのえ | 水 | 陽 | 大海・大河 | 知恵・寛大・包容力・流動的 | 288° |
| 癸 | みずのと | 水 | 陰 | 雨・露・霧 | 感受性豊か・直感・内省・繊細 | 324° |
※ WHGR Root角度:White & Green Co., Ltd.のWHGR理論における各日干の基準角度
▲ 目次に戻る6. 十二支(じゅうにし)詳解
| 地支 | 読み | 五行 | 陰陽 | 月 | 蔵干(主要) | 象意 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 子 | ね | 水 | 陰 | 11月 | 壬(癸) | 真冬・知恵・孤独・深層 |
| 丑 | うし | 土 | 陰 | 12月 | 己・辛・癸 | 凍土・蓄積・忍耐・金の倉庫 |
| 寅 | とら | 木 | 陽 | 1月 | 甲・丙・戊 | 春の開始・虎・開拓・決断 |
| 卯 | う | 木 | 陰 | 2月 | 乙 | 春の盛り・純木・芸術・完璧主義 |
| 辰 | たつ | 土 | 陽 | 3月 | 戊・乙・癸 | 春の土・龍・変幻・水の倉庫 |
| 巳 | み | 火 | 陰 | 4月 | 丙・庚・戊 | 初夏・蛇・知恵・二面性 |
| 午 | うま | 火 | 陽 | 5月 | 丁・己 | 真夏・情熱・自由・花やかさ |
| 未 | ひつじ | 土 | 陰 | 6月 | 己・乙・丁 | 夏の土・感受性・木の倉庫 |
| 申 | さる | 金 | 陽 | 7月 | 庚・壬・戊 | 初秋・機動力・変革・鋭さ |
| 酉 | とり | 金 | 陰 | 8月 | 辛 | 秋の盛り・純金・美・精密 |
| 戌 | いぬ | 土 | 陽 | 9月 | 戊・辛・丁 | 晩秋・守護・火の倉庫 |
| 亥 | い | 水 | 陽 | 10月 | 壬・甲 | 初冬・自由・哲学・放浪 |
7. 十神(じっしん)── 命式の人間関係と吉凶
十神は日主(日干)から見た他の干支との五行関係に名前をつけたものです。十神を理解することが四柱推命解釈の核心です。
| 十神名 | 日主との関係 | 人生の意味 | 吉凶(身強の場合) |
|---|---|---|---|
| 比肩(ひけん) | 同五行・同陰陽 | 自我・独立・競争・分け合う | 弱い日主には吉。強すぎると財を奪う |
| 劫財(ごうざい) | 同五行・異陰陽 | 奪う・強引・浪費リスク | 財を奪う。弱い日主への助けが必要な時のみ吉 |
| 食神(しょくじん) | 日主が生ずる・同陰陽 | 才能・食福・長寿・創造 | 最も穏やかな吉星。梟神(偏印)を忌む |
| 傷官(しょうかん) | 日主が生ずる・異陰陽 | 天才・反権威・官を傷つける | 天才肌。官を見ると問題。才能なら吉 |
| 偏財(へんざい) | 日主が剋す・同陰陽 | 流動的財・父・事業相手 | 事業家・横財。劫財を忌む |
| 正財(せいざい) | 日主が剋す・異陰陽 | 安定財・妻(男命)・給与 | 安定収入。比劫が多いと奪われる |
| 偏官(七殺) | 日主を剋す・同陰陽 | 権力・軍事・強いプレッシャー | 制すれば英雄。食神制殺が最上 |
| 正官(せいかん) | 日主を剋す・異陰陽 | 名誉・地位・規律・夫(女命) | 名誉職・地位。傷官を忌む |
| 偏印(梟神) | 日主を生ずる・同陰陽 | 直感・学術・孤独・食神を剋す | 研究・神秘学。食神を倒食し才能を奪う |
| 印綬(正印) | 日主を生ずる・異陰陽 | 知識・資格・保護・母 | 最も安定した吉星。財星に壊されると凶 |
- 食神制殺(最上):食神で七殺を制す → 大将軍・英雄の命式
- 印星化殺:印星で七殺を化す → 権威ある地位を得る
「殺重いに制有れば権を掌握す」── 七殺は制せられてこそ価値を発揮する
8. 格局(かくきょく)── 命式の骨格
格局は月支の蔵干(地支の中に蔵された天干)から決まる「命式の社会的役割・基本的性格」です。韋千里はこれを評断の第二段階に位置づけました。
8.1 普通格局(正格)八格
| 格局名 | 月支の条件 | 基本的な人物像・用神の方向 |
|---|---|---|
| 建禄格 | 月支が日主の建禄地 | 自立・自営・独立心強い。用神は財・官・食傷 |
| 月刃格 | 月支が日主の帝旺地 | 強烈な個性・指導者。用神は財・官で制す |
| 食神格 | 月支蔵干が食神(透出) | 穏やか・才能豊か・食福。梟神(偏印)を忌む |
| 傷官格 | 月支蔵干が傷官(透出) | 天才・芸術家・反権威。正官を忌む |
| 偏財格 | 月支蔵干が偏財(透出) | 事業家・投機家・社交的。劫財を忌む |
| 正財格 | 月支蔵干が正財(透出) | 堅実・安定志向・勤勉。比劫を忌む |
| 偏官格(七殺格) | 月支蔵干が偏官(透出) | 激しい人生・権力・軍事。食神制殺が必要 |
| 正官格 | 月支蔵干が正官(透出) | 名誉・地位・規律・官僚。傷官・七殺を忌む |
| 偏印格(梟神格) | 月支蔵干が偏印(透出) | 学術・研究・孤独・神秘。食神を忌む |
| 印綬格 | 月支蔵干が印綬(透出) | 知識人・資格職・安定。財星を忌む |
8.2 外格(特殊格局)── 韋千里の整理
日主が極端に強い・弱い場合に成立する特殊格局です。韋千里は「少しでも破格があれば普通格局で論じよ。外格と普通格局を取り違えると南北が逆転する」と警告しています。
| 格局名 | 成立条件 | 特徴 |
|---|---|---|
| 曲直格 | 木が純粋に揃う(甲乙日主・寅卯辰 or 亥卯未) | 木の五行に従う。金を忌む |
| 炎上格 | 火が純粋に揃う(丙丁日主・巳午未 or 寅午戌) | 火の五行に従う。水を忌む |
| 稼穡格 | 土が純粋に揃う(戊己日主・辰戌丑未が多数) | 土の五行に従う。木を忌む |
| 従革格 | 金が純粋に揃う(庚辛日主・申酉戌 or 巳酉丑) | 金の五行に従う。火を忌む |
| 潤下格 | 水が純粋に揃う(壬癸日主・亥子丑 or 申子辰) | 水の五行に従う。土を忌む |
| 従財格 | 財星一色・日主極弱 | 財の五行に従う。財運大 |
| 従殺格(従官格) | 官殺一色・日主極弱 | 官の五行に従う。地位・権威が人生の中心 |
| 従児格 | 食傷一色・日主極弱 | 食傷の五行に従う。才能で生きる |
| 従旺格 | 比劫・印星のみ・財官食傷なし | 日主の五行に従う。同五行の運で大吉 |
| 従強格 | 印星一色・日主強 | 印星の五行に従う |
| 化気格 | 天干合が月支の気で化す | 甲己合土化等。非常に稀。厳密に判断 |
9. 用神(ようじん)── 命式の薬
用神は命式の「薬」です。日主の強弱を判断し、過不足を補正する五行が用神。大運・流年で用神が来る時期 = 好運期。忌神が来る時期 = 困難期。
| 用神の種類 | 適用場面 | 内容 |
|---|---|---|
| 抑扶用神 | 最も一般的 | 日主が強すぎれば財・官・食傷で洩らす。弱すぎれば比劫・印星で助ける |
| 通関用神 | 相剋が起きている時 | 相剋する2つの五行の間に入って調停する五行 |
| 調候用神 | 季節の偏りがある時 | 夏生まれは水・冬生まれは火など、寒暖燥湿のバランスを補正 |
| 専旺用神 | 外格(特殊格局)の時 | 旺じている五行をそのまま用神として守る |
韋千里式・用神特定の八段階手順
| 段階 | 手順 | ポイント |
|---|---|---|
| 第1段 | 月支確認 | 月支が命式の五行の主成分を決める |
| 第2段 | 身強弱判断 | 建禄・比劫・印星の多さで判定 |
| 第3段 | 格局確定 | 外格の可能性も必ず確認する |
| 第4段 | 用神特定 | 強弱・格局から用神を決める。調候用神も確認 |
| 第5段 | 喜忌確定 | 用神=喜神。用神を剋す五行=忌神 |
| 第6段 | 大運照合 | 用神が来る大運=好運期 |
| 第7段 | 流年照合 | 当年の干支と用神の関係を確認 |
| 第8段 | 六親・事業 | 十神の配置から職業領域を特定 |
10. 干支の相互作用
10.1 天干合・地支三合・六冲
天干の十干合(引き寄せ・変化):
| 天干合 | 化の五行 | 化の条件 |
|---|---|---|
| 甲+己 | 土化 | 月支が土の五行の時 |
| 乙+庚 | 金化 | 月支が金の五行の時 |
| 丙+辛 | 水化 | 月支が水の五行の時 |
| 丁+壬 | 木化 | 月支が木の五行の時 |
| 戊+癸 | 火化 | 月支が火の五行の時 |
地支の三合局(強力な五行の塊):
| 三合局 | 化の五行 | 中心地支 |
|---|---|---|
| 申+子+辰 | 水局 | 子(水の帝旺) |
| 巳+酉+丑 | 金局 | 酉(金の帝旺) |
| 寅+午+戌 | 火局 | 午(火の帝旺) |
| 亥+卯+未 | 木局 | 卯(木の帝旺) |
地支の六冲(衝突・変動・動のエネルギー):
| 六冲 | 意味・効果 |
|---|---|
| 子↔午冲 | 感情・変動・方向転換。情感の激しい変化 |
| 丑↔未冲 | 財の変動・安定の破壊。倉庫が開く |
| 寅↔申冲 | 決断・移動・変革。木が金に切られる |
| 卯↔酉冲 | 人間関係の摩擦・競争。繊細な軋轢 |
| 辰↔戌冲 | 土の倉庫が開く。大きな変化・転機 |
| 巳↔亥冲 | 大変動・潜在力の解放。極端な変化 |
10.2 地支の刑・六合・害
| 種類 | 組み合わせ | 意味 |
|---|---|---|
| 寅巳申(三刑) | 無恩の刑 | 人間関係の軋轢・法律問題・訴訟 |
| 丑未戌(三刑) | 恃勢の刑 | 固執・頑固・権力による損失 |
| 子卯(無礼の刑) | — | 礼節の問題・対人摩擦 |
| 六合 | 子丑・寅亥・卯戌・辰酉・巳申・午未 | 引き合い・結合。命式の流れを滑らかにする |
| 害(がい) | 子未・丑午・寅巳・卯辰・申亥・酉戌 | 静かな障害・遠慮ある妨害。冲より力は弱い |
11. 大運・流年── 時間軸の予測
大運はジョーティシュのマハーダシャーに相当する「10年単位の運気の流れ」です。
| 大運の内容 | 解釈 |
|---|---|
| 用神と同じ五行の大運 | 好運期。事業成功・昇進・結婚・健康 |
| 忌神と同じ五行の大運 | 困難期。損失・病気・対人問題 |
| 命式の重要柱を冲する大運 | 大きな転機・変化 |
| 空亡の地支が「実る」大運 | 空亡が解消され開花・変化が現実化 |
「身強の命と身弱の命が同じ好運に入っても、成果の速度と量は大きく異なる。身強の者は身弱の者をはるかに超える。故に身の強弱の判断が命理の基本である。」
流年(りゅうねん)は「その年の干支が命式に与える影響」です。
- 用神と同じ五行の流年 → その年は吉
- 忌神と同じ五行の流年 → その年は凶
- 命式の重要な地支を冲する流年 → 変化・事件が起きやすい
- 大運と流年が同じ五行 → 効果が倍増(良い方向も悪い方向も)
12. 六親── 家族・人間関係の読み方
| 六親 | 男命の星 | 女命の星 | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| 父 | 偏財 | 偏財 | 偏財の状態・強弱・大運との関係 |
| 母 | 印星(偏印・正印) | 印星 | 印星の状態。財星に剋されると母縁薄 |
| 妻 | 正財(偏財も) | — | 財星の強弱・日支(配偶者宮)の状態 |
| 夫 | — | 正官・七殺(偏官) | 官星の状態・日支の状態 |
| 兄弟姉妹 | 比肩・劫財 | 比肩・劫財 | 比劫の多寡・大運での変化 |
| 子供(男命) | 偏官(七殺) | 食神・傷官 | 時柱・時支の状態 |
| 子供(女命) | 食神・傷官 | 食神・傷官 | 時柱・食傷の強弱 |
13. 空亡と神殺(しんさつ)
13.1 空亡(くうぼう)── 力の空白
| 日柱の旬 | 空亡地支 |
|---|---|
| 甲子〜癸酉(甲子旬) | 戌・亥が空亡 |
| 甲戌〜癸未(甲戌旬) | 申・酉が空亡 |
| 甲申〜癸巳(甲申旬) | 午・未が空亡 |
| 甲午〜癸卯(甲午旬) | 辰・巳が空亡 |
| 甲辰〜癸丑(甲辰旬) | 寅・卯が空亡 |
| 甲寅〜癸亥(甲寅旬) | 子・丑が空亡 |
13.2 主要な神殺
| 神殺名 | 算出方法(日干基準) | 意味 |
|---|---|---|
| 天乙貴人 | 甲戊庚→丑未、乙己→子申、丙丁→亥酉、壬癸→卯巳、辛→午寅 | 最強の吉神。危機からの救済・貴人の助け |
| 文昌貴人 | 甲→巳、乙→午、丙→申、丁→酉、戊→申、己→酉、庚→亥、辛→子、壬→寅、癸→卯 | 学問・文才・試験運 |
| 驛馬 | 申子辰→寅、寅午戌→申、巳酉丑→亥、亥卯未→巳 | 移動・転勤・海外・旅行 |
| 桃花 | 申子辰→酉、寅午戌→卯、巳酉丑→午、亥卯未→子 | 異性運・人気・芸能・魅力 |
| 羊刃 | 甲→卯、丙戊→午、庚→酉、壬→子 | 強烈な力・暴力・手術・事故。制せれば英雄 |
| 魁罡 | 庚辰・庚戌・壬辰・戊戌(日柱) | 非凡・孤独・極端な命。強烈な個性 |
14. 韋千里の評断篇── 現代命理の標準手順
韋千里(1911〜1988年)は20世紀最高の四柱推命師。上海復旦大学卒業、袁樹珊・徐楽吾と並ぶ「上海命学三大家」の一人。1936年西安事変では宋美齢の依頼で「蒋介石は無事」と予言し的中。著作は10冊以上、命学講義新編は11カ国で販売されました。
第一段:看強弱 → 第二段:定格局 → 第三段:取用神 → 第四段:論喜忌
第五段:査歳運 → 第六段:推六親 → 第七段:評性情 → 第八段:断事業
- 「身強弱なしに十神の吉凶を語るな」── 同じ財星でも身強には吉、身弱には凶
- 「格局を破る一字に注意せよ」── 清純な格局が一字で破格になる
- 「外格判断は最も慎重に」── 少しでも破格があれば普通格局で論じよ
- 「大運・流年なしに命式だけで断言するな」
- 「六親論を固定化するな」── 命式全体の流れで読む
- 「時代・社会環境を考慮せよ」── 古法を硬直的に適用しない
15. 富貴・事業・健康の判断
15.1 富・貴の条件
| 吉の条件(富) | 吉の条件(貴) |
|---|---|
| 財旺身強(財星が旺で日主も強い) | 正官格清純(正官一位・混雑なし) |
| 食神生財(食神→財星)→ 才能で財を生む | 印綬護身 → 貴人の助け・学識で地位 |
| 財印両透・不相剋 → 地位と財が共存 | 七殺有制(食神制殺)→ 英雄の命 |
15.2 職業の適性
| 十神が強い | 適した職業 |
|---|---|
| 食傷旺 | 創造・技芸・教育・飲食・芸術・IT・技術職 |
| 財星旺 | 商業・金融・投資・不動産・貿易・経営 |
| 官星旺 | 行政・法律・政治・軍事・医療・警察 |
| 印星旺 | 学術・文化・出版・宗教・占術・コンサルタント |
| 比劫旺 | 合弁事業・チームワーク・スポーツ・競争的職業 |
15.3 健康と五行
| 五行 | 対応臓器 | 過多の場合 | 過少の場合 |
|---|---|---|---|
| 木 | 肝・胆・目・筋 | 怒りやすい・肝臓病 | 判断力低下・うつ傾向 |
| 火 | 心・小腸・血液 | 興奮・高血圧・心臓疾患 | 情熱不足・循環不良 |
| 土 | 脾・胃・筋肉 | 頑固・消化不良・肥満 | 不安定・基盤なし |
| 金 | 肺・大腸・皮膚 | 潔癖すぎ・肺炎・皮膚病 | 決断力なし・呼吸器弱 |
| 水 | 腎・膀胱・耳・骨髄 | 恐怖心・腎疾患 | 知恵不足・性機能低下 |
16. インド占星術(ジョーティシュ)との比較とWHGR理論
| 四柱推命 | ジョーティシュ(インド占星術) | 説明 |
|---|---|---|
| 日主(日干) | ラグナ(上昇点) | 命式の中心基準点 |
| 用神 | ヨーガカラカ(最吉惑星) | 命式で最も力を発揮する五行/惑星 |
| 大運(10年固定) | マハーダシャー(可変) | 長期の運気の流れ |
| 流年(1年) | アンタルダシャー+トランジット | 年単位の運気 |
| 天干合 | コンジャンクション(0°) | 惑星・干支の結合 |
| 地支冲(180°) | オポジション | 対向する力 |
White & Green Co., Ltd.のWHGR理論は、四柱推命の干支体系とジョーティシュのアスペクト概念を統合した独自指標です。S&P500の6,598日分のデータを統計検証した結果:
| パターン | N | 翌日上昇率 | p値 | Cohen’s d |
|---|---|---|---|---|
| ① 火→土 × SP-WHGR高 × W中立 | 33 | 72.7% | 0.0021 | +0.437 |
| ② SP中立 × W低 × 水→水 | 56 | 64.3% | 0.0134 | +0.278 |
| ベースライン(全日) | 6,598 | 53.1% | — | — |
付録:主要古典文献一覧
| 文献名 | 時代 | 著者 | 推奨度 | 主なテーマ |
|---|---|---|---|---|
| 子平真詮 | 清代 | 沈孝瞻 | ★★★★★ | 格局論の最高峰。月令用神・格局の成敗を最も論理的に整理 |
| 滴天髓 | 明代伝 | 劉基(伝)/任鉄樵注 | ★★★★★ | 詩文形式の深い命理。従格・病薬用神の高度な概念 |
| 窮通宝鑑 | 明代末 | 余春台 | ★★★★★ | 調候用神の決定版。日干×月支の完全網羅 |
| 三命通会 | 明代 | 万民英 | ★★★★ | 最大の命理百科全書。歴史的文献価値が高い |
| 千里命稿 | 1935年 | 韋千里 | ★★★★★ | 現代命理のスタンダード。実例100余則・評断手順の原型 |
| 八字提要 | 1946年 | 韋千里 | ★★★★★ | 日干×月支×時柱1440通りの完全評価 |
| 命学講義新編 | 1980年 | 韋千里 | ★★★★★ | 理論の体系的学習に最適。初心者から上級者まで |
| 淵海子平 | 宋代 | 不明 | ★★★ | 四柱推命最初の体系書 |